夜のしじまに。

ひととひと。人間関係は煩わしいのに尊い

#03.後悔はしていない。こんな体験をさせてくれてありがとう

Ep04「フラレて元気になれるはず!」

彼は仕事が終わった後、ちゃんとお店に来てくれました。嬉しかった。「お疲れ様です。何食べますか?」ってメニューを渡すそんな何気ないことがすごく特別にも思えました。最初は本当にリアルな相談話と職場の話から始めました。あとは私個人の秘密を彼に伝えてみたりしました。それは前回、彼が家族のことを話してくれたので、私の秘めたる部分も打ち明けておきたいなと思ったからです。
でも私は彼のことが心の底から好きなわけですから、本当は私のすべてを知ってもらいたい。聞かれたらなんでも答えますよレベルでこちらはもう120%くらい彼に心を預けるつもりだったわけです。(今振り返ると、その思考回路はかなり幼稚な恋愛観だということがよくわかります。その話はまた別の記事で)

秘めたる部分の流れから「実は私はあなたのことか好きなんです、入社したときから」と伝えました。すると彼は鳩が豆鉄砲食らったかのような顔をして何も言わず。だから私はそのまま言葉を続けました。(ここからはリアルな会話そのままです)「彼女がいて止めなきゃいけないのも、望みがないのも最初からわかってる。でも止められなかった」というと彼は「わかるよ。俺も経験ある。コイツいいなって思った女の人に彼氏いるって分かったらさっさと諦めるもん。諦められるっていうことはその程度の想いってこと。でも今回はそうじゃなくて、YUMちゃんはそれくらい本気で好きだってことだよね」って言われ、その場では素直に「うん…」って答えたんですが、30秒くらいたってから(…?それ、おまいう!?)ってツッコミたくて仕方なかった!なに、どこ視点なの!!?
しかし半年経った今、彼の当時の心理状態を分析すると、普段冷静で理性的な彼がそんな支離滅裂な(理屈はあってるけど整合性がとれない)ことをいうってことは少なくとも動揺したんだろうなぁとは思います。まぁ、けどなんか言われたこっちが恥ずかしいです…。

そして続く彼の言葉は「好きだと言われるのは嬉しい。けれど彼女に悪いから二人で会ったりすることはできない」とハッキリ言われました。私はあわよくば仕事の話でいいからたまにはふたりで飲みに行ったりしたいと伝えました。けれどその望みは叶えられないと。過去の経験上、彼女がいてもサシノミしてくれる男性はいたし、実際何事もなく普通に友達としていられました。だから彼にとっても気さくに愚痴れる後輩と思ってくれたらそれ以上は望まないって思っていたのに、その想いはハッキリ絶たれました。
誠実な人。仕事では出世を期待される会社のホープです。今だから言えるのは彼は真面目で嘘のつけないいい奴。これらは出逢って3日で好きになった頃には知らなかったことで、こんな彼だから好きになったんじゃない。けれど実際の彼はこんなにも素敵な男性でした。

気付いた瞬間に振られました。自分から望んだ結果です。告白したことはまったく後悔していません。言えて良かった。振られたけど、気持ちを伝えられて良かった。
なんとなく彼の顔が赤いことに気づいて「もしかして照れていますか?」って聞いたら「大人になって告られるとかないから、ハズい」そう言った彼が最高に可愛かったです。

「私のことどう思いますか?」とも聞きました。そしたら「すごく真面目。生真面目。ただ仕事では周りが見えなくなるときがあるから、そこは危なっかしいなと思うし、おもしれぇなって思うこともある。もちろんキライとかでは全然ない」この言葉が本当に彼の心からの本心なんだろう。職場の仲間として、私のほうが年上だけど後輩として、ちゃんと見てくれているんだなって。

入社して半年。彼と出逢って3日で好きになって、振られちゃったけど、好きになれてよかった。経験したことのない感情を持てたり、何気ないことが幸せに感じたり、改めて人と人の出逢いの素晴らしさや、同時に大人になってもままならないことがあるのだと知った。

仕事を頑張ろうって思えたり、彼がいなければたぶんつまらない日々を過ごしていたと思う。だからありがとう、とも言いたかった。そう言うと彼は言葉を詰まらせて、頷いてくれました。

洋食屋を出て、テラスのような場所で彼と私は少し話をしました。開放感のあるテラスで気持ちまで開放感があって「どうしたら嫌いになれるのかな」と私がいうと「今は無理って思うかもしれないけど、時間が経てばそのうち忘れるよ」と彼は言いました。その瞬間に「彼もそうやって失恋の辛さを乗り越えてきたんだな」と思うと同時に、そう言われると「じゃあずっと好きでいてやろう」と意地も出てきちゃって、この話をしているときが一番楽しかった。

その後、少し会社の話をしました。私は彼に「上層部があなたのことを上にあげようとしてる気がする。遅かれ早かれあなたは技術職から管理職のような立場になって、私達の事務職と近い形で仕事するようになると思う」と告げました。すると彼は「そうかな?そんな気配一切ないけど。俺はこの会社で長くいるかわからないよ。今も迷ってる気持ちはあるし」と私の未来の希望的観測にはやや否定的でした。

(しかしこれはこの告白からの半年後、現実のものとなるのですが、このときのふたりには知らないことです)

冒頭でもお伝えしましたが、私と彼は職場で同志として、会社を今後盛りたてていく者として、自分の職種をまっとうしながら、時に意見を明け透けに言い合い、認め合いながらやっていく良い仕事仲間にしかなれない関係なのです。決して彼の中で女として大事にされ、彼女として支えることはできない。

こんなに好きなのに大事なのに、愛情を形にすることは許されません。良き仕事仲間としてどうやって彼を支え、大事にしていくか。これが私に与えられた使命なのだと…。

 

 

ここまで読んで下さりありがとうございます。
せつなく、拙い恋の話はこれにて終わりですが、私と彼の関係はこの告白から半年経った最近、職場での距離が近すぎてまた大いに戸惑い揺れています。とりあえず、半年前に私が彼に告げた予言は見事にあたり、今まで遠かった彼と職種が近くなりました。